日本心療内科学会理事長に就任して
心療内科学会理事長の就任(2024年10月1日~2026年9月30日)にあたり、現代社会の状況や心療内科学会の活動と方針について述べます。
この度、日本心療内科学会の理事長に就任いたしましたことを、誠に光栄に思います。
心療内科は、心と体の複雑な相互作用を解明し、より包括的な医療を提供することを目指す学問分野です。私たちの生活を取り巻く環境は、生成AIなどのテクノロジーの急速な発展、気候変動による自然災害の頻発、そしてコロナ禍がもたらした社会構造の変化など、目まぐるしく変化しています。これらの変化は、人々の心身に多大な影響を与え、新たな疾患を引き起こす可能性を孕んでいます。
この時期だからこそ心療内科の重要性を広く社会に啓発していくことが重要と考えます。私は、前任の久保千春理事長が築かれた礎を継承し、以下の点に重点を置き、学会をさらに発展させてまいります。
1.現代社会の課題解決への貢献:デジタル技術を活用したストレス関連疾患の早期診断・支援システムの開発、災害後の心身へのケア、産業ストレスに関する研究を推進します。
2.学術面の発展と人材育成:脳科学、分子生物学、心理学など、様々な分野の研究者との連携を深めるとともに、臨床研究を継続し、エビデンスに基づく医療の推進し、全国支局活動を通じた若手医師の育成強化や専門医制度の確立を図ります。
3.保険制度の改革:心療内科の診療が適切に評価されるよう、保険制度の改革に向けて積極的な働きかけていきます。
4.社会との連携強化:社会への貢献:ウェブサイトやSNSを活用し一般の方々への情報発信にも力を入れていきます。地域住民向けの健康講座開催を援助します。
会員の皆様、そして関係各位の皆様には、今後とも変わらぬご支援とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
2024年10月1日
特定非営利活動法人 日本心療内科学会
理事長 河合 啓介